事件! 百田尚樹『日本国紀』 Amazon連続1位の理由
百田尚樹さんの最新本『日本国紀』がAmazonで1位を維持し続けている(100時間以上)。発売前の本がこれほど長い期間1位になり続けるのは非常に珍しいようで、百田尚樹さん本人も関係者も驚きのコメントやツイートをしている。そこで今回はその理由を予想してみた。
ネット時代のなせる技
まずはじめに、購入層は保守層、そして百田尚樹さんの作品のファンたちがメインだろう。(Amazonなので当然といえばそうだが)中でもインターネットユーザーが多いのではないだろうか。
というのも百田尚樹さんはYouTubeやニコニコ動画に出演することも多く、インターネットメディアから知ったという人も多いはずだ。私ものその一人。
逆に従来のメディア(テレビや新聞など)には出演しない。テレビの映画特番や映画館で百田尚樹さんの作品を見て好きになった人も、百田尚樹さんと知らない人すらいる。
『永遠の0』が面白いと言った知人も百田尚樹さんを知らなかった。じゃあ誰の作品だと思っていたのかと。というのも、どういうわけかテレビ業界や新聞業界も百田尚樹さんの名前を前面に出さないからだ。
ジブリなどは監督の名前が一番大きく、次に作品名が来る。普通そうだ。なぜか百田尚樹さんの作品に限っては違うのだ。
話をもどす。発売前からAmazonでの売り上げが多いというのは百田尚樹さんならではかもしれない。というのも、百田尚樹さんがインターネットの番組内で日本国紀の宣伝をすると、その場でAmazonで検索をして予約するパターンがあるからだ。
TwitterでもAmazonのURLを張っているからその場で予約ができる。購買意欲が高いうちにその場で予約できるのはネット通販、Amazonだからこそだ。
もう一つ、リアルの書店では百田尚樹さんの本が手に入りにくいという事もある。
ベストセラー作家にも関わらず、置く書店と置かない書店があるのだ。置いていてもかなり目立たない場所に置かれていたりと探すのに一苦労する。ならばAmazonで買った方が早いと思うファンも多いのではないだろうか。
隠れファンでも隠れられないネット時代
好きな作家について知人などと話し合う事は稀だ。百田尚樹さんの本を買っても友達などに「百田尚樹の日本国紀を予約したよ!」とは言わないだろう。
言ったところでその場に本がなければ「へ〜」で終わる。村上春樹さんの新作でも同じだろう。人知れず百田尚樹さんのファンという人もいるかもしれない。だが、いくら隠れファンが隠れても、日常会話で登場しなくても、Amazonは全てお見通しだ。
Amazonはあなたが何を買っているのか、Amazonを訪れる前にどのサイトを見ていたか、Amazonの後にどのサイトに行ったのか、Amazon内のどのページに何秒滞在していたのか、Kindleを使っているならば読書スピードはどのくらいか、本の続きを購入するのか、などなど、あなた以上にあなたの事を把握している。
そのデーターを元に、適切におすすめ商品を紹介する。あなたを知り尽くしているから、そのおすすめを買う可能性は書店のおすすめコーナーより高くなる。「よく一緒に購入されている商品」や「この商品を買った人はこんな商品も買っています」がいい例だろう。
Kindleでプライム会員限定0円や読み放題プランで本が売られるのはこのためだ。その場では利益が出なくてもその後、そのユーザーが「この商品を買った人」となり宣伝役になるのだ。私が撮影した写真集も読み放題プランで読める。「この商品を買った人」になり宣伝してください。
これは青山繁晴さんの『ぼくらの死生観』のページを見た時のものだ。私は他にAmazonでハンターハンターも買っているし、イタリア語辞典も買っている。もしかしたら、ハンターハンターを買い、イタリア語辞書を買おうとしている人のページの「この商品を買った人はこんな商品も買っています」に『日本国紀』が表示されるかもしれない。
このように百田尚樹さんに代わって、あなたに代わって、Amazonが同じ趣味の人たちに宣伝しているのだ。
『日本国紀』がAmazonでバズる連鎖の仕組み
もちろんこの『日本国紀』が大変面白いだろうという事(そう思っている人が多い)は大前提として。これほどAmazonで1位になっている理由の一つがAmazon内に多く表示されている事だ。なぜ多く表示されているのか。
『日本国紀』は突然の発表ではなく、随分前から百田尚樹さんはいま日本史の本を書いていると言っていた。まだ発売にならないのかと待ちわびたファンも多いはずだ。そして今回、発売となったので一気に予約が集まったのだろう。
それにより売れ筋ランキング、新着ランキングともに1位になった。
面白いかまだわからないので、すぐには買わないながらもとりあえずほしい物リストに入れておく人もあり、ほしい物ランキングのバナーにも表示されるようになった。私が見た時点では2位。3位までがバナーに登場するようだ。
ランキング上位に入った事で、人気ならばプレゼントしようと考える人も出てくる。これでギフトランキングのバナーにも表示されるようになった。私が見た時点では1位。
Amazonでかなり人気が出ているのでAmazon自体がさらに売り込む。それにより本の種類「単行本」の見本として表示されるようなる。さらに注目検索ワードにも入っている。
これによりただ本を買いにAmazonを訪れた人にも表示されるようになる。すると『日本国紀』のページを見たり、購入したり、ほしい物リストに入れたり、ギフトとして送ったりする事によりさらにAmazonの評価は上がり、さらにAmazonが宣伝する。というバズるサイクルに突入したのだ。