ガジェットと雑談@信濃まつもと

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宝塚歌劇団を楽しもう 〜未完の劇を楽しむという事〜

宝塚歌劇団というと、”一糸乱れぬダンス”、”素晴らしい歌”、”最高のパフォーマンス”といったイメージを抱く人も多いだろう。だがそれは必ずしも正しくない。完璧な日は一日たりともないのだ。「それじゃダメじゃないか!」と思うだろう。だが実はその”未完”こそ宝塚歌劇の魅力の一つでもあるのだ。どういう事か、それは以下を読めばわかるだろう。



毎日が初日 それが飽きさせない秘密
よく友達に「この演目を観るのは3回目だな」などと話すと、「はぁ? 同じもん何回も観てもしょうがないだろ」と返ってくる。だが、何回観ても飽きないのだ。なぜなら同じ演目でも同じではないから。


昨今の宝塚歌劇の演目は宝塚市にある宝塚大劇場で約一ヶ月、その後東京日比谷にある東京宝塚劇場で同じ演目を約一ヶ月公演するスタイルになっている。


つまり”初日”は宝塚市宝塚大劇場で初めて上演する日になる。通常の劇ならばこの日に完璧なものを上演するだろう。しかし、宝塚歌劇においては若干事情が異なる。実はこの宝塚大劇場の初日は未完なのだ。ぶっつけ本番のシーンだって存在する程に。組子(団員のこと)も演じる役の方向性が定まっていない事もある。演目のサイクルが激しい宝塚歌劇ならではの事情だろう。しかし未完だからといって初日が延期されるわけもなく、初日はやってくる。


だがその”未完”が逆に魅力となっているのだ。ガチガチに完成されていないからこそ、客の反応や劇場の空気から試行錯誤しつつ柔軟に対応し、改良して公演を重ねていくのだ。その日々素晴らしくなっていく演目はファンの心をつかんで離さない。毎日同じ演目を上演していても、同じ日は一日たりとも存在しないのだ。それが、”毎日が初日”と言う意味であり、飽きない秘密でもある。


故に一ヶ月後に行われる東京宝塚劇場の初日ではかなり完成に近づいている。しかし完成ではない。それは兵庫と東京では客層も若干違うし、組子自身も新しい表現を模索し出すからだ。宝塚歌劇において、”完成”は存在しない。なぜなら日々成長しているのだから。