香川県「ゲーム1日1時間」アメリカ「Fortniteで推薦入学と奨学金」
香川のネット・ゲーム依存症対策条例がニュースで話題になっている。この異常な条例について今回は書きたい。
参考 香川県の「ネット・ゲーム依存症対策条例案」【全文】
炎上したゲーム条例
条例なのでわかりにくく長々と書かれているのだが、世間で炎上した部分はゲームとネット接続時間について書かれた18条の箇所だ。
条例の内容は子供(18歳未満)のゲームを1日1時間までにするよう努めろ、というものだ。スマホ利用時間を1時間にするといった内容だったが反発が大きく改正された。
そして夜10時すぎはスマホを控えるように努めろ、との事。
香川県が問題としている点
条例を全部読むと、香川県が何を問題視しているかが見えて来る。簡単にまとめると以下の点だ。
・ネット、ゲームのしすぎによる注意力低下、体力低下、学力低下、睡眠障害、ひきこもり。
・射幸性が高いオンラインゲームによる依存症。
香川県の条例のここがおかしい
私が香川県のこの条例案を見て、おかしいと思った点を紹介したい。
まず、ネット、ゲームの何が悪いのか具体名(商品名など)がない事だ。
「XXチャンネル」「XXファンタジー RPG」などの具体名が何一つ出てこない。
ネットのどのサイトが、何のゲームが注意力低下などにつながるのかの指摘はなく、単に「ネット「ゲーム」を規制しているのだ。
例えばYouTubeでは学習塾のような内容を配信しているチャンネルもあるし、英会話のチャンネルもある。
遠慮なく言うと、私の学生時代の担任より圧倒的に分かりやすい内容だ。
学校の先生は分かりにくくても給料が出る。だがYouTubeは分かりにくければ再生されない。再生されなければ収益にならないので死活問題だ。
なので子供が退屈せず、分かるように工夫して作られている。
学習系のブログも数多あるし、「ググる」事は辞書より早く、辞書より深い内容に辿り着ける。
ゲームにも注目してみよう。
小学校でのプログラミング教育が話題になっているが、ネットとコンピューターがなければ話にならない。
ゲームも同様だ。
Appleが発表した子供向けのSwift学習アプリSwift Playgroundsはまさにゲームそのものだ。
自分で入力したプリグラムを実行し、キャラクターが狙い通りの動作をすればクリアとなる。
ポケモンGoというゲームがある。最近ではドラクエウォークも登場した。知っての通り実際に歩いてプレイする内容だ。
ポケモンGoが体力低下に繋がるのだろうか?
また、マインクラフトを授業に取り入れたというニュースはもう2013年の話だが、つい先日、アメリカの高校と大学がFortniteを公式eスポーツに指定したと発表された。
ゲームで奨学金と推薦を受けられるアメリカ
参照 「フォートナイト」が米国の高校と大学の公式スポーツに
野球が上手い子供同様に、Fortniteが上手い子供はFortnite推薦で入学でき、奨学金も受ける事が可能になるだろう。
もちろん、プロとしての活躍が見込めるほどの上手さが必要だが、それは野球推薦などでも同じ事だ。
「イチローのようになりたい」と言えば応援するが、「Ninjaのようになりたい」と言えば目が点になる大人が多いのが現状だろう。
だが、Ninjaを目指し、才能があれば入学資格が得られ、学費が免除される。そのシステムを作ろうとしている国と、1日1時間なんて言っている県。
イチローとNinjaは何が違うのか?
プロフェッショナルで、エンターテイナーで、多くの観客を熱狂させ憧れの的になる。違うのはジャンルと国籍くらいだ。
eスポーツの大会は従来のスポーツの大会と同様にスタジアムを満員にし、多くの観客がライブ配信を見て楽しんでいる。
賞金も従来のスポーツ大会同様に高額だ。ちなみに、FortniteのW杯の賞金は約3億円だった。
eスポーツの盛り上がりは将来の話ではない。すでに起こっている現実だ。
一つのビジネスとして成立しているのだ。
ネット、ゲーム一括りでそのようなメリットまで規制してしまう事に気がつかない時点で頭がおかしいとしか言いようがない。
子供を守るならパチンコを規制すべき
最後にちょこっと書いておく。
パチンコに行くために子供を車中に置き去りにした事件が実際に発生している。
これはスマホが普及する以前から問題になっている事だ。
パチンコをする大人が犠牲になるのならば良いが、その子供が実際に命を落としている。
では「パチンコは1日1時間」という条例ができた県はあるのだろうか。
聞いたことがない。
ネットやゲームを規制して、以前から車中放置や依存症などの問題が起こっているパチンコを規制しない理由はなんだろうか。
理由は簡単で、子供とゲーム会社は選挙の票を持っていないからだ。
と言うわけで、香川に限らず、ゲーム規制ってバカだよねって話でした。