ガジェットと雑談@信濃まつもと

独自サーバーに書いていた物をはてなに移行。独自サーバーの方でガジェットと経済の記事を書くサイトをはじめました。

VALU事件に見る株式投資との大きな違いとそのリスク

今話題のVALU。株式会社への投資のように人へ投資するサービスである。少なからず株式投資をしている筆者が考える株とは大きく違う点、気おつけたい点が調べていくうちにわかったので書く。



アカウント停止のリスク

株でいう上場廃止がアカウント停止にあたるのだろう。株式の場合は会社に大損が出て経営破綻の末に上場廃止のパターンが主であるが、VALUの場合は規約違反によるアカウント停止が主であろう。明々白々な規約違反ならばいいが、インターネットサービスにおける規約違反からアカウント停止への流れは必ずしもそうとは限らない。インターネットサービスの多くは規約違反を通報と自動検出で探し出している。VALUが自動検出を使っているかはわからないが、インターネットのサービスであれば誤BANはわりと聞く話しなだけに心配だ。ちなみに株の場合、無価値になる上場廃止以外に嬉しい上場廃止もある。買収だ。例えばトヨタに買収されたダイハツがそれにあたり、この場合ダイハツ株を持っていた人はトヨタ株と交換してもらえる。


話を戻す。その誤BANはなにもVALUに上場した本人だけでなく、VALUでの価値を決めているSNSなのどのアカウント先が誤BANされた場合も価格に影響がでそうだ。例えばYouTubeで人気の人が、Google規約違反接触してアカウントが停止された場合、その人の価値は下がるという事だ。


規約違反のデメリットはVALUへ上場する人にもリスクがある。通常の銀行口座ならば裁判所命令か名義人が死亡でもしない限り口座凍結は起こり得ないが、銀行ではないが故にVALUではその可能性が出てしまう。先日のYouTuberの一悶着でその人物のアカウントが出金凍結になってしまった。本人が買い戻すと言っているのでそうなったのか、言わなかった場合にもそうなったかは気になるところだ。おそらく一悶着が規約違反に該当したためだろう。不正に価値を釣り上げる行為。株式市場でそれをやれば一発アウトだが、VALU金融商品にあたるとは思えず、グレーなところである。事後に規約が変わりその事件が対象になってアカウント停止にされてしまえばそれは危険な事だ。法の不遡及。ただ、規約が法律でないだけに厄介ではある。


株式会社は株主の物だが、VALUに上場している人は誰のもの?

当然といえば当然だ。株を買えば株主として意見を言うことができる。株主総会で質問すれば株主であるがゆえに答えてくれる。VALUはいくらVA(株でいう株数にあたる)を所持しようとVALUに上場した人は答える必要はない。そして、株式会社では発行株式の1/3超を保有されると経営が思うように進められなくなる可能性が出てくる。これは特別決議の拒否権が得られるためだ。1/2超を保有されると取締役を解任させることもできる。一方、VALUに上場した人が自分のVAをいくら売りに出そうが大きな意味はない。せいぜい買った人が損をするか得するかだ。


経営陣は一新できても脳みそは一新できない

会社の経営が悪い場合や不祥事を起こした場合、株価が冴えない場合は株主から不満が噴出する。経営陣を一新したり責任を取って退陣したりと舵をきらなければならない。ではVALUに上場した人はどうか。価値が下がってきたからといって、文句を言ってもどうしようもない。脳みそを一新する事はできないのだ。それにVALUコーポレートガバナンスのように本人が悪い選択をしないようにするストッパーとなる制度もない。ちなにみ、このコーポレートガバナンスは不正が起こらないように監視するシステムだが、オリンパスしかり、東芝しかり、富士フィルムしかり、機能しているとは言い難い。


外国株を買う感覚

国内株を買う場合は、単純に株の値動きだけ見ていればいい。外国株となると円とその国の通貨との為替も気にしなければならない。VALUビットコインで扱うので円とビットコインの為替を気にする必要が出てくる。いくら本人の価値が上がっても、同時にビットコインの価値が下がってはヤリキレナイ。もちろんその逆もある。それにビットコインは国際決済通貨のような信用もないので価値が0になるリスクも考えておかなければならない。本人の国籍の通貨を取引に使用すればいいと思うが、それはシステム上でも法律上でも敷居が高いのだろう。


投資ではなく支援

間違いなく投資(投機)と思わないほうがいい。もしかしたら見返りが来るかもしれないファンクラブ程度の気持ちで出資するべきだろう。VALU運営も支援の要素を強調しているように思えるが、YouTuberの一悶着から分かるように多くの人が儲け目的である事は明々白々だ。でなければ「そんなやつだとは思わなかったよ」ですむ話だからだ。投資にするにはリスクが高すぎると筆者は判断した。株式の場合、自己資本比率を確認したり、業績を確認したりしてある程度のリスク回避はできるが、VALUは何を見てリスク回避すればいいのだろうか。「投資は自己責任」なのだ。最終的に判断はそれぞれに任せるという事になるが。