かぐや姫の物語を観た感想 姫の犯した罪と罰とは?
『かぐや姫の物語』を観てきたので感想を書こうと思う。ネタバレも含むのでその辺は悪しからず。
では、つまらないのかと言うとそうでもない。上映時間はかなり長い作品だが、飽きた瞬間は一時もなかった。それはおそらく、他のアニメ作品にはない「絵」の力が強いためだと思う。ワンカットワンカット、一コマ一コマ、とても丁寧な、とても美しく描かれている。そのワンカットワンカット、一コマ一コマ、が芸術作品なのだ。美術館で絵画を観ているような、そんな感覚だ。そして曲もまた美しく、絵と曲がマッチして一つの芸術作品となっているのだ。特に、月から迎えが来るときの不思議な感覚はとても気に入っている。
この映画、映画館で観る事を強くおすすめしたい。映画館の大きなスクリーンで観るからこそ絵の息遣いが伝わってくるし、劇中の曲も美しく聴ける。レンタルして家のテレビで観てもそれはわからないだろう。
罪は地球に憧れてしまった事。もっと言うと「欲」を持った事。罰は地球で暮らす事。
そう感じた。劇中の終盤で月の住人がかぐや姫を迎えに来る。その時、月の住人は地球をクズでクソッタレな最低の場所のように語っている。月の住人にとって、月を美しい善の星とするなら、地球は汚れた悪の星なのだ。かぐや姫は月にいた頃、月から見える地球に興味を覚え恋いこがれてしまった。月の住人であるかぐや姫が、汚れた悪の星に憧れる事はタブー(罪)であった。そんなタブーを犯したかぐや姫には、汚れた悪の星で暮らし、「自分は何でこんな最低の星に憧れてしまったんだ!」と反省しろと月のトップから罰が与えられたのだ。かぐや姫が帝に言寄られ「帰りたい!」と思った時、悔い改め反省したとみなされ月から迎えが来る事となる。
迎えに来た月の住人は地球をクズでクソッタレな最低の場所のように語ってかぐや姫に接するが、かぐや姫はそれを肯定せず、嫌な部分も多くあるが良い部分もまたあり、地球は決して汚れた悪の星ではないと言う。しかし、最終的には月の羽衣で記憶と欲を消されて無になってしまう。地球人の私には理解しがたいが、月の住人にとってはそれが最も美しい善の状態なのだろうと思った。
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